方向変換

技能教習をしているときに、

ときどき教習生から聞かれる質問がある。

『車庫入れはいつやりますか?』

という質問だ。

まともに答えるのが面倒だったので、

『第二段階でね』と私は当時答えていた。

じつはウソだ。



実は教習所においては車庫入れはない。

練習内容にも、もちろん検定にもない。

似たような課題ならある。

それが第二段階で実施する方向変換だ。

文字通り方向を変換するという課題だ。

つまりは車両の向きを180度変える。

そのためにバックをする。

言わばわき道を利用するスイッチターンなのだ。

ある意味車庫入れに似ているが、目標が違う。

応用すれば確かに車庫入れになるが、

卒業検定で我々が望むのは180度

車の向きを変えてほしいだけで、

後退した時点での車の位置は問わない。

(ポールにぶつかったり、

縁石に乗り上げるのはもちろんNG)

だからこの課題はバックした後すぐに

向きが変わる方向に前進で出なければならない。



しかしここで私たちが思わず

ため息をついてしまうことが起きる。

それは教習生がバックで入った後に

なかなか前進していかなことだ。

さらには「出ていいですか?」という

まぬけな質問があったり、

「終わりました」

「どこまで下がればいいですか?」

なんて言葉があったりする。

これらの言葉に我々ががっかりする理由は

もちろん教習生が方向変換の主旨を

理解していなことに対してではあるが

問題はそんなに単純ではない。

教習生が方向変換を勘違いして

車庫入れのように理解してしまった理由は

指導員の教え方が悪いのだ。

技能教習に限らず、新たな物事を

始めてもらうためには必ず導入という形から入る。

導入とは説明プラスαのことだ。

まず方向変換についてまともに説明できていない指導員が非常に多いということだ。

こういう指導員はS字コースや

クランクコースについても

なぜそれらのコースを練習するのかを

まともに説明できない。

だから安易に目印教習に走ってしまう。

その後に違う指導員が正しいこと説明しても、もはや手遅れ。

全く受け付けてもらえない。

反感を買い、苦情をもらって自分の評価が下がるのが関の山だ。

本来はこうした教習生に対して改めて方向変換の主旨を説明しなおすものだが

面倒だし、下手をすれば悪く思われる可能性もあるので

「もうここまでバックすればいいよ」

「じゃあもう出ようか」

「じゃあ右に出ていこう」

などと説明にもなっていない

その場だけの指示をだして終わらせる。

そして教習生は最後まで物事を理解できない。

さらに問題なのは方向変換の主旨を

理解していない指導員が本当に

存在してしまっていることだ。

若い指導員に多いのだが方向変換を

車庫入れとして教えてしまっていることがある。

まさに悲劇だ。



教習所の質の低下は、もはやとどまることを知らない。

そしてこのような教習所では指導員に対して

上司が適切に教養を実施できていない。

あくまでも苦情がないようにが第一で、

教習内容などどうでもいいのだ。

だから余計に苦情が増えることもバカな上司は分からない。

方向変換という課題についてだけで

その教習所の質が分かるものだ。

もし方向変換を車庫入れという形で教わったという人がいたとすれば

つまりはそういう教習所で教わってしまったということだ。



 

 

 

 

 

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