始まった理由

高齢者講習の歴史については簡単に語ってきたが、意外にも古くから存在していたという事実に驚いた人も少なくはないだろう。

しかしまだ根本的な話を全くしていない。

なぜこのような制度が始まったかということだ。

高齢者講習制度自体は任意で受講するという形で始まっている。1980年代の後半からだ。当時はまだ高齢者の運転について社会問題として取り上げられることはなく世間の関心は大きくなかった。それもそうだろう、当時は75歳以上で運転免許を所有して自分で運転する高齢者は多くはなかったからだ。

講習の受講が義務化されるのは1998年(平成10年)からのことではあるがこの時点でもまだそれほど高齢者の運転について問題が大きく取り沙汰されてはいなかった。実際に当時でも受講者の人数は多くはなく高齢者講習は当時の教習所においてマイナーな業務として存在していた。

一方で教習所ではこの頃から業界の存続にかかわる大きな問題に直面し始める。言うまでもないが少子化だ。教習所に限らず少子化は日本の産業全てに影響する。その年の出生率が下がれば18年後の教習所は危ないと早い段階から分かっている。そういった意味で教習所の需要の低下は予測することが容易なわけだ。



将来の業績の悪化が分かりきっているのであれば経営者は利益が出なくなる前に閉校したり、あるいはタチの悪い経営者は自分たち一族だけの利益が確保できるように人件費の削減を計画していく。(これが最も会社の健康的な寿命を縮める。中身から腐っていくからだ。)

さて教習所が廃れていくと困るのはそこで働く社員だけではない。運転免許を取得しようとする人も困るし、警察だって困るのだ。教習所は主に管理者というポストに警察からの天下りを置いている。教習所が減るということは警察職員の天下り先が減るということだ。(管理者、または、参照)もっとも最近では教習所のワガママ3G経営者に頭を下げるのはウンザリということで教習所に再就職したがる警察OBも少ないらしいが。

ここまで話せばご理解いただけると思うが、高齢者講習は高齢者の運転について危惧したものではない。

先細りしていくことが分かっている教習所の救済のためだ。そこには天下りという自分たちの利益の確保が見え隠れしている。今でこそ高齢者の運転が大きな社会問題になっているが、時代が後から追い付いてきたわけだ。いつもお役所のやることは大外れなことばかりだと思っているが、これについては先を見越していた、というより簡単に分かっていたということだ。

18歳人口が少なくなって免許の取得人口が減るのであれば、これから増え続ける高齢の運転免許所持者に講習を義務付けて教習所を救済しようというわけだ。



反論と反感を持つ読者の方もいようが、実際に講習を担当してきた私が断言しよう。

あんな講習で絶対に事故は減らない!

そしてこの制度のせいで本来は消えるべきの教習所が延命されて不毛な競争が長続きし、かえって業界の質を下げてしまっている。

ではこれからそう断言できる理由とその実態について暴露していこうではないか。



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