高齢者の視力検査

高齢者講習の講習の中では視力検査が実施される。

運転はまず第1に目から入ってくる情報によって判断し行動する。

それだけに運転で最も重要なものは目と言っても過言ではなく警察署で行われる免許更新でも必ず視力検査を実施する。

年齢が高齢になれば目が良くなることなどない、残念ながら悪くなっていく一方だ。

そんなわけで高齢者講習の中で視力検査を実施して本人に目の衰えを実感してもらおうというわけだ。

免許更新でおこなう視力検査は静止視力のみだ。(所持免許によっては深視力も)

これは自分が止まっている状態で止まっている物を見る能力だ。しかし運転中はこの静止視力ではなく他の要素を強く求められる。運転中は当然車両は動いているので必要なのは動体視力だ。夜に運転するのであれば暗い中で物を見る夜間視力だ。あと、ついでとは言っていけないかもしれないが運転中は一転ではなく様々な情報に関心が持てなければならないので広い視野も必要になる。

そういうこともあって高齢者講習の中ではこれらの視力検査も同時に実施している。しかしこれにも多くの問題があり全く実施する意味がないものに成り下がってしまっている。ここでは詳しく説明していこう。



ではまず通常の静止視力からであるが教習所の教室内において視力を測るための広いスペースを確保することは非常に難しい。小さな空間で済むコンパクトな視力測定器が求められる。

おもにこのような省スペースな優秀な検査機を用いる。

皆さんも使ったことがあるだろう。中を覗き込んで内部に表示されることについて答えていく。

若い人はこれで全く問題ないのだがさすがに70歳以上の高齢者となるとこれに若干苦戦する。

それまで明るい部屋の中に居たのに急に暗いところを覗くとなるとなかなか見えてこないのだ。

目が暗いのに慣れることを暗順応というのだ。高齢者はこれに時間がかかる。

視力監査が始まってもなかなか高齢者は答えてくれない、もしくは見えない。

運転免許には眼鏡等の条件もないのに免許更新の基準となる0,7に達しない人が多いのだ。

時間をかけて見えてくるのを待っていればよいのかもしれないが担当指導員はそんなことしない。

理由は2つある。1つは時間がないこと、もう1つは結局ここで視力検査をしても無駄でしかないからだ。

教習所で視力検査をしても結局は警察署で視力検査をするわけで大した意味はないのだ。

検査を受ける高齢者の多くは目に自信があるわけではなく、または白内障などの疑いで眼科に通っているケースも多い。医療機関で検査を受けたときと比べ視力が下がったという高齢者が実に多いのだ。それもそのはずだ、検査機に目が慣れるまでは時間がかかるし指導員はやる気もないからだ。どうせこんな検査意味ないでしょ、と最初から取り組む気もない。

次に動体視力だが、これもなかなかにひどい。動いている物を見る力が動体視力であるが教習所の動体視力は遠方から自分の方に迫ってくる(段々と大きくなってくると言った方がよいかも)物体について答える方式だ。

個人的にはこれは動体視力ではないと思っているがまあ仕方ない。測定方法は同じ検査機を覗き込み手元にあるボタンに手を添えてもらう。測定が始まると最初はとても小さい輪(Cのようなやつ)が少しずつ大きくなってくるので輪の切れ目が分かった瞬間に手元のボタンを押してもらう。ボタンを押した瞬間に表示されていた輪は消えるので輪の空いていた部分を答えてもらう。ボタンを早く押せた方が当然動体視力の検査結果はよくなる。

しかしこの検査の実施がなかなか難しい、高齢者は実施方法を理解してくれないのだ。

全く見えていなのにボタンを押す、ボタンを押さずに答える、意味を理解できず何もしない等々、高齢者の行動に担当者は手を焼く。まともに検査ができる方が少数派だ。指導員はほとんどの場合で意味を理解させることを諦める。できなければ0.1と書いておけばいい。

さらにはこの検査は5回検査するが時間もないので5回も行わない。いいとこ3回ぐらいで切り上げて4、5回目はその前の結果から適当に推測して勝手に書いている。時間がないからだ。そしてこの検査結果でとくには免許更新に何も影響はないからだ。



夜間視力もひどいものだ。

夜間視力の測定方法は同じく検査機を覗き込むわけだが中には眩しい2つの光が存在する。その2つの光の真ん中には例の輪があって受講者は上下左右、切れ目を答えていく。全く見えない高齢者も数多い。

しかしわずかながら結構見えてる高齢者もいる。しかしあまりよく見えてもらっては困るのだ。初めに測定した静止視力より良くなってしまったり、同程度でも整合性が取れない検査結果になってしまう。これは初めに測定した静止視力の時に高齢者が暗いのに目が慣れてなかったために本来の力が発揮できなくて指導員も時間がかかるためにこれを待つことはしないので静止視力が実際より悪い結果になっているためだ。

こんなとき指導員は実際に測定した夜間視力を静止視力より悪く書くか、静止視力を良く書き直すか検査の整合性を意識して改ざんしているのだ。だってこんな検査どうでもいいのだから。

最後に視野だ。これは医療機関でも測定に苦労するであろう。視野とは目を動かさずに物が見える範囲のことだ。繰り返し申し上げるが目を動かしてはいけない。測定方法は高齢者に検査機の台に顎を乗せてもらう。正面に左右に動かすことができる点があるので点が見えたり見えなくなったらボタンを押してもらう。

このような機械で測定する。この検査の問題点はたくさんある。まずは目を動かしてはいけないと説明しても高齢者はどうしても動く点を目で追ってしまう、次に手元のボタンを押すのだが高齢者の反応が遅れたり何も見えていないのにボタンを押したりでなかなか正確な検査の実施は難しい。さらに教習所の視野検査は水平方向のみで上下には全く検査できない、正確に検査していないのにやる意味さえないときている。

高い講習代金を支払って医師でもない教習所指導員に中途半端な機器で視力検査をされる。しかもそのやり方はやる意味がないほど手を抜いたもので、さらには結果にも意味はなくまた警察署で検査をして、それが免許更新の決め手になるというオチだ。2時間講習で¥5100、3時間講習で¥7950、こんな大金を支払ってこんな扱いをされるなんて本当に高齢者は気の毒だ。

その分の金額で眼科で検査を受けた方がよほど意味があるに違いない。



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