申し送り事項

教習所に通う教習生の進度を

記録するために教習原簿という物がある。

通っていた人にとってはお馴染みであろう。

取得する車種によってページ数が異なるが、

普通車の場合で6~8ページほどの紙の冊子である。

表紙には教習生本人の顔写真が貼り付けられ、

その上からご丁寧にプレスまでしてある。

この教習原簿は一応、公的な書類で

卒業後も何年かは保管しているはずだ。

教習原簿には技能教習、学科教習のほか、

検定、その他学科の試験関係など

教習所で行われるすべての事柄が記載され押印される。

病院で言えばカルテのようなものだ。

(最近の病院は電子カルテだろうが)



さてこの教習原簿には「申し送り事項」という欄がある。

基本的に技能教習のページにあるハズだ。

技能教習に関して担当した指導員が

次に担当する者に対して引き継ぎたいことを

記載しておくという使い方が一般的だ。

実際に書き方で多かった内容を紹介しておこう。

・エンスト多い

・アクセルとクラッチの調和

・脱輪多い

・狭路通過できない

・法規に従うこと

・右左折の方法

・加速不良

・基本操作できない

・アクセル弱い

・方向変換要練習

など挙げればキリがないが、

おおむねこのような事が多い。

その教習生の習得状況が思わしくない部分を

次の指導員が引き継ぐために記入する。

またこれによって指導に一貫性を持たせ、

「指導員によって言っていることが違う」

という教習所の定番の苦情を減らすことにも

一役買っている。

特にこれは毎時間、指導員が変わる随意性の

教習所においてはとても重要だ。

1人の指導員が卒業まで同じ教習生を受け持つ

担当制の場合、毎回同じ指導員が受け持つため

とくに申し送りなどあまり必要ない。

しかし随意性の場合、前述の通り担当指導員が毎回変わる。

指導に一貫性を持たせることはもちろん、

指導員も初対面の教習生と教習をする際、

さらには路上教習であればなおさら、

事前に教習生の情報がほしいのは当然だ。

こういった場合、申し送り事項の記載は役に立つ。

簡単に言えば、申し送り事項の欄に多くの記載があれば、

その教習生は下手であるということだ。

この申し送り事項、正しく活用されれば

大変役に立つものだ。



しかし最近の教習所ではなかなか理想通りにはいかない。

教習所は人間の集団、いろいろな人間がいる。

もちろんこれは指導員たちのことだ。

なかには申し送り事項を記入する

指導員を悪く言うバカな指導員もいる。

ここに書かれることは教習生にとっては、

上手くいっていないことが書かれるわけで

いわゆるネガティブな内容なのだ。

教習生も教習原簿を見ることはできるので、

悪いことが書かれれば気にする。

その教習生の心情を利用して、

申し送り事項を記入した指導員を

悪く言って教習生からの評価を

良くしようとする最悪な指導員がいる。

ウソのような話に聞こえるだろうが

本当のことなのだ。

また申し送り事項を記入することによって

教習生からの評判が悪くなるのでは、

と気にする指導員も多い。

(まあ、上記のような最悪な指導員が

いるのだから仕方ない。)

そのため、ダメな教習所においては

面白いことが起きる。

申し送り事項に何も書かれない教習生と、

スペースが埋め尽くされるほど書かれまくる

教習生のニ極化が起きる。

ある程度できる教習生や、普通にできない程度の

教習生は何も書かれない。

極端に不出来な教習生のみ大量に申し送り事項を

記入されてしまう。

これでは何の申し送りにもなっていない。

ただ単に、極端に下手な教習生が

指導員によってさらされているだけだ。

そしてそのような極端に不出来な教習生は

別に申し送り事項がなくても

挨拶をして車に乗るまでの所作を見れば分かる。

しかし、まるでいじめのように書かれてしまっている。

教習所を管理する各都道府県の公安委員会の皆さん、

(実際の実務は警察だが)

教習所において検査を実施する場合、

教習原簿の申し送り事項を見てほしい。

ここの二極化を見れば、

その教習所の現実を知ることができる。

そして指導員の皆さん、

どうかこの申し送り事項を正しく活用してほしい。

 



と、ここまでは一般的な話だがここからが裏話だ。

申し送り事項は積極的に記入する指導員と

そうではない指導員に分かれてしまうが

積極的に記入する指導員が

熱心な人物かというとそうではない。

本当にタチの悪い指導員は、

普段は教習中はくだらない話ばかりして、

良くない部分は軽く言う程度にして

積極的に申し送り事項に記入しておく。

こうすれば、他の指導員や上司に対して

自分は一生懸命仕事をしているかのように

見せかけることができるのだ。

こうやって教習生を欺き、職場の仲間を欺き、

自分の評価を高めようとする指導員を私は知っている。

なぜなら私も使ったことがあるテクニックだ。

各教習所において申し送り事項を

最も多く書いている指導員には実は注意が必要だ。

騙されてはいけない、今の教習所はそんな所だ。



 

 

 

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